自由の森再生プロジェクトX〜挑戦者たち〜

自由の森再生プロジェクトX〜挑戦者たち〜 
寮修繕への道 【前編】

                 ナレーター 田口トモロヲ


「このままでは、子ども達に泊まってもらうわけにはいかない。なんとかしよう!」
これは、寮の修繕のために、敢然と立ち上がった保護者達のドラマだ。



 それは、5月23日。ツーデーマーチが行われている、よく晴れた土曜日だった。産声を上げて間もない「自由の森再生プロジェクト」の会議が行われていた。本来は、学校のリニューアルを円滑に進めるのが目的で作られた分科会だった。
 会議をしている和室に、いつもよりも軽やかに鬼沢校長が入ってきた。

 開口一番
 「大友理事長から寮の修繕をやって欲しいと依頼があります。8月2日から、学習塾の子ども達の夏合宿があります。それまでに寮をきれいにしたい。やってもらっていいですか。予算は50万円。」

 その日の参加者は、一級建築士の茂木を含め、わずか5名。早速、寮の見学に訪れた。


 南寮と西寮の二棟。
 男子生徒たちが、25年間使っていた。
 湿気で、石膏ボードは痛み、穴があちらこちらにある。カーテンのかかっていない部屋は多数。長い窓は掃除がしにくいので、外側のよごれが落ちない。


 茂木はうめいた。
「これだけの修繕をするとなると、それなりの費用がないと・・・せめて100万円あれば、なんとかなるんだが・・・」
 鬼沢校長の答えは揺らぐことがなかった。「50万円で」
 不安材料はまだある。今日、たった5人しかいない。作業には多くの人手が必要だ。保護者たちは集まってくれるのか?


 しかし、学習塾の夏合宿は、まったなしでやってくる。
 これはやるしかない。
 保護者たちは、互いに顔を見合わせ決意した。「5人しかいないのではない。5人もいる。ここから出発しよう。」

 
 やがて、体育祭の日、運命の出会いがあった・・・。


 続く



    
    えっと、NHK並みに、少々おおげさになっています。すみません。